論文書き方/実験設計チェックで自分が意識していることをまとめます. アドホックに得てきた知見なので,少し分類が煩雑かも.でも,論文チェックで複数回読み返せる時はこの項目をチェックしていくと修正点が見つかって良いです.
全般的に
- 追記の都度英文校正を行う
- GrammaryやGPTに添削してもらう
- Scribendi (1/3の割合でいい人間に当たる,その他は文法しか直してくれない)をめっちゃ回す
- アブストラクトは論文全体が出来上がったら書き直し(本文とのconsistencyを保つため)
文中
方針
- 一文を簡潔に,端的に書こう.
- 〜てしまうなどの主観が入りそうな表現はなるべく削る.
- 「のような」「fugaというhoge」のような曖昧性のある言葉はなるべく使わない
- 受動態を使わない
- 日本語の場合なるべくカタカナ語やひらがなが多すぎないように→象形文字が無いとぱっと見で意味が掴めなくなる&長くなるため
- 段落一行目はトピックセンテンスとして重要なため,大まかに何をしたか「我々は〜〜を実装した.」みたいな文を入れる
- 主語と述語の一致を意識する→修飾語をすっ飛ばして骨幹がしっかり正しい文法か確認する
- 名詞の一致が正しく行われているか.名詞を変数みたいに考える.
- 例えば「我々は2つの機能を実装した.1つ目は〜〜〜という’機能’である」みたいな文の名詞の対応関係に注意する
細かい言い回し
- 「で」は複数の捉え方があるので禁止(e.g., with, at, using...)
- 並列時の言い回しを固定する
- OR:「または」
- AND: 「および」「ならびに」
- 作成と作製の漢字に気をつける.デバイスの時は作製
- can’tなどの省略形を使わない.can notと書く.
- exploreなどの曖昧な語ではなくfindなどなるべく意味が狭い語を使う.
- セクションとサブセクションの間に大まかな説明を入れる.(Relatedworkとサブセクションの間に説明.mindless attractorが参考になる)
- Scribble(Words and Phrases to Avoid in Academic Writing)を見る.
- タイトルが長すぎる場合short titleを駆使する
- 用語や記号を定義する場合,複数箇所にて使用している(定義の必要性がある)か,定義前に記号使ってないかをチェック.
- 過剰な修飾語を控える(e.g., 非常に,大いに)
- Fig.->初登場時はFigure
- Sec.->初登場時はSection
- 1~9はアルファベットで他はアラビア数字で書く.
- latexではセリフはこう囲む ``’’
- 数値と単位の間にはスペースを入れる(23\,cmなどのように.もしくは~\cite{})
注意されがちな言い回しメモ
- make sure -> ensure
- try -> aim
- he/she does -> they do
- Since -> Because
- is, mean -> represent
表,グラフ
注意事項
- \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}を必ず使う.さもなくばboundboxエラーが出る
- グラフには凡例をつける
- 表の横文字と縦文字が見やすいかどうかチェックする.棒グラフの場合,バーは太すぎないかもチェックする
- P値の書き方を統一(p<.005, 数値のみ,p=hoge<.05)
- 縦軸のラベルは横書きで見やすくしたい(縦軸ラベルはタイトルに書くとか,角っこに書くとか)
- 余白はなるべく削る(Latexでの位置調整がおかしくなる)
- vspace, hspaceで細かい余白を操作して文章の位置調整できる
- グラフ中の文字の英訳を忘れないようにする
- グラフおよび表は全て引用されているかチェック
- キャプションにThe/Aなどの冠詞は要らないのでチェック.
- 表に対して縦の線は使わない.latex table ruleとかで検索すると今時の論文に使われている表のデザイン例が出る.
- 図表は全て文中で順番通り引用する
細かい知見
- 棒グラフは縦に圧縮しやすい
- 二個以上のグラフは1つにまとめると分量削減できる
図
注意事項
- 凡例の文字は読めるかチェック
- キャプションにThe/Aなどの冠詞は要らないのでチェック
細かい知見
- [ht]オプションをつけると,図表だけのページになったり,図表が変にスペースを取ることがなくなる.便利
スライド
注意事項
- 文字→現地開催の学会の場合,24ptはせめて取る.
- 単位は少しフォントサイズを小さくする
- 改行の位置は文の意味と合わせる
- 箇条書きは目立たせる
- 箇条書きの語尾を統一する
- →の意味は一つに統一する(▷とか図形でバリエーションを持たせると,被らない)
- 引用のフォーマットを揃える
- 表は強調線入れる
- サブタイトルやスライドタイトルは後で入れる/修正する(スライドとの齟齬が起こりかねない)
- 漢数字は使わない,2とかアラビア文字を使う
- なるべく表も使わずにグラフに直す
- 目的とアプローチのスライドの箇条書きが,後のスライドと順番が対応しているかどうかチェック
- 議論とfuture workの対応が取れているかどうかチェック
- 箇条書きのレイヤー,レベルは揃える(概念的に同じものを置く)
細かい知見
- 字詰→普通:プロポーショナル幅,Noto Sans JP: 代替プロポーショナル幅
- ()→ | に置換するとスペースを削減できる
- コロンの記号→/とか,図形の枠で囲う,|に置換できる
- 台本を発表者ノートに作ってからそれに合わせて図を作る感じだと,スライド作成が爆速になる
- 発表者ノートに(図aを指し示す)とか行為を書いとくと小洒落た感じが出る.強調したい部分も書いとくと声のトーンを調整しやすい.
- ポインタ使うとか,スライドのどこ見ればいいのか視線誘導させたい時は差分スライドを使っていくのもいい.(実験手順を示す時,1.hogehogeを説明しているときはそこをボールド表記にするなど)
ポスター
注意事項
- 図は上につける,概念図やデバイスの写真など特徴づけるfigureをスライドの最初の上部につける→観客は上から見る傾向があるし,現地開催の場合,前の人の頭でスライド下部は見れない可能性があるため
- 同様の理由で絶対に見せたい情報を上に置く
- 結論ー>理由みたいな順にする.結論firstで記述.
- コラムの一行目にトピックセンテンス/サブタイトルみたいな感じで記述,コラムの全体がわかるような説明を簡潔に
細かい知見
- 文字量を少なく,語弊が多少あってもいいのでとにかく分かりやすく書く→議論で追加説明や弁明できるため
- 要素を囲む感じにしたり,箇条書きにすると字数減らせる.
- 印刷すると印象変わるかも.(色味が薄れたり)印刷してチェック.
実験設計
注意事項
- ラテン方格でカウンターバランスを取る.
- 何を統制する必要があるか,どう統制するかについては資料にまとめて誰かと話し合うのがいいのかもしれない.
- なぜその手法にしないといけなかったのかを論理的に詰めていく(他の実装がダメな理由を考える)
- 実装ではデバッグとエラー処理を書く(何か不都合があってもそこまでのデータは絶対取れるように)
- 実験の謝金はみんなに配る/配らないを統一する
- ラボの方針として,謝金を払える範囲とラボ内実験の範囲の定義をPIに確認しておく
- 手法の発展系の研究だと,既存手法と比べる実験構成にする
実験
注意事項
- 一人で実験まずする
- 休憩時間について,n分以上の場合n分くらいで切り上げる(ムラがあると実験結果に影響が出る可能性がある)
- 実験や謝金の出し方は確認しておく
デモ発表時のコンセプトムービーの作り方
参考文献
以下のカテゴリ以外は使わない(参考:http://exlight.net/tutorial/bibtex-category.html):
- inproceedings
- incollection
- book
- article
- phdthesis
- masterthesis
- misc
特に, inbook->incollectionの確認はする(ネットから拾ってきたbibtexはinbookの形になってることが多い)
その他
論文の添削はscribendiがいいっぽい(質は1/3で良いのが来るので2,3周する)